2012年6月29日金曜日

別れたくない症候群



このところ、毎週のように田舎の家に人が滞在していっている。6月最後のお客さんたち。
お泊りにきたのはシドニー在住の一家。ご夫婦とお子さん3人。
ダンナさんのパトリックはMon mari の古い友人で、現在シドニーの大病院の診療部長の(部長というよりは実質院長と同格の地位らしい)お医者さん。偉い人なのに、高ぶらずとても気さく。奥さんのニコラは看護師だけど、今は大学院で教鞭をとっている。
Mon mari とはその昔、太平洋の島のトンガで知り合った。しばらく音信普通だったが、最近、連絡を取り合った。
で、我が家のブッシュハウスにぜひ来たいということで、一家総出でお越しになった。
あいにく、滞在した日は曇りと雨の日が続いたが、我が家のオンボロ・ランドローバーでブッシュに入っていき、コアラ、カンガルー、ワラビーなどを堪能してきたとか(私は行かなかった)。
お子さんは上からエアリア11歳、フィリックス8歳、ルーシー4歳。みんな、かわいい盛り。
子どもは3人から社会が始まると言うが、観察しているとほんとその通り。誰かが誰かの世話をし、誰かが誰かの足を引っ張り、誰かが誰かを非難し、誰かが誰かを擁護する・・・ 3人だと2人がくっついて1人がハブされる。見ていておもしろいパワーバランス。

とにかく一緒にいてとても楽しい家族だったので、最後の日のお別れの日にお別れしたくなくなった。彼らはこの後、メルボルンに向かうので、「じゃあ、私たちもメルボルンに行くから、あさってメルボルンのうちのボロ家で会おう!」ということになった。
そしてそのあさっての日、みんながまた戻って来てくれた。近くの中華屋でご飯を食べたあと、また家に戻り、雑談。ルーシーが踊ってくれて皆を和ませてくれる。
あー、別れ惜しい家族。ホントかわいい子どもたち。こんなに子どもが可愛いと思ったのは久しぶり。また会いたいよ~。

2012年6月20日水曜日

あなたの住所を証明しなさい!

このところ、天気が悪く気温も低くてかなり落ち込んでいて、また立て続けにビジターが来てお泊りされていったので忙しく、ブログから完全に遠ざかっていた。
もうこのブログも家族を初めとして、読んでくれている人はそんなにいないと思うから、まあいいか・・・。これからは一人つぶやき日記としてアップしていこう!

さて、先日、郵便局で久しぶりに阿蘇山級の火山マグマを吹きだしてしまった。
実はメルボルンのボロ家にも遂にブロードバンドを設置することになり(今まではモーバイルのUSBスティックでインターネットをしていたが不経済なことがわかった)、プロバイダーから機材が届くことになっていた。だが、届いた日には家にいなかったので、不在メモが郵便受けに入っていた。さっそく、郵便局に行き、不在メモを出して受け取りを依頼した。
そしてそこでの会話・・・

私:(メモを出して)この荷物を取りに来ました。
局員:オーケー、IDを出して。
私:はい、これ運転免許証とMedicre(健康保険証)です。
局員:・・・・・・・Medicare (健康保険証)は住所の記載がないから証明にならないわ。免許証ならいいわ・・・あれ、住所が違うわよ、免許書の住所。これはメルボルンの住所ではないわね。
私:あ、はい、実は家が二軒あって、今、こっちに来ているんです、でもメインの住まいはあっちなんですが、こっちにもたまに来ているんです。
局員:どっちでもいいんだけど、メルボルンの住所にあなたが住んでいるという証明書か請求書なんかない?なんでもいいんだけど・・・
私:(汗をかきかき、財布やバッグの中を片っ端から見てさがす)ないようです・・・どうしてもここの住所を証明するものがないとダメなんですか?
局員:ダメね。家に戻って、水道料金とかの請求書でももっていらっしゃい。
私:(落胆オーラムンムン)はい、わかりました・・・

-家に戻る-
ファイルを探してみても自分の名前とメルボルンの住所の記載がある公的な書類はない。仕方ないので、Mon mari 宛てのガス料金の請求書と、先日購入した掃除機の私宛ての請求書(そこには住所が書いてある)を持ち出した。

-郵便局に戻る-
私:一応、これを持ってきました。家にあるのはこれだけです。公共料金はすべて夫の名前で登録しているので私の名前ではありません。その代り、先日、物を買った時に送られた、私の名前と住所のある請求書を持ってきました。これで何とかしてくれませんか?
局員:だめよ。あなたのダンナの名前の請求書じゃ話にならないし、物品の請求書なんて公の書類として認められないわ。そういうことなら銀行に行って、あなたの口座の住所をメルボルンに変えてもらうなりしてから銀行証明をもらってきなさい。それしか方法はないわ。
私:えー、そんな・・・!銀行の口座は、田舎の家の住所になっていてそこに郵便物を全部送ってもらっているのに、メルボルンに変えると不便になるんです。
局員:それはあなたの問題でしょ。今はこの方法しかないから、荷物が欲しければメルボルンの住所が書いてある銀行証明をもらってきなさい、と言っているんです。
私:この小さな小包を1つ受け取るためだけに、これから銀行にまで行って住所を変更しなければいけないんですか?
局員:そうよ。
私:(怒りが頂点にのぼる・・・)そんなバカげたことがあるかしら。どうして今持ってきた免許証や保険証、その他の書類じゃいけないんですか?何とかしてもらえません?
局員:ルールよ。壁の張り紙を見なさい、荷物の受け取りには「名前と住所が一致する免許証、公共料金書類、銀行証明など」と書いてあるでしょ!? とにかく出直してきてちょうだい。
私:(心の中でビッチ!と叫んで、憮然として立ち去る・・・)

-再度家に戻る-
家に帰ったら怒りがさらに込み上げてきて、Mon mari に思いっきり当り散らした。「まあ仕方ないよ、官僚的なルールはどこでもあるでしょ。あと家が二軒あるという奴への憎悪だよ(ホントか?)」と他人事にはクール(これが自分に降りかかったら怒り狂うだろう・・・)。でも私は「イギリスでもフランスでも日本でもこんなことなかったよ。あんな官僚的なフランスでさえ、パスポートか滞在許可証のID(住所の記載はない)をみせればOKだったんだよ、配達人が家に届けて家から本人か家族か、他人でさえも運よく出れば何も確認せず渡してくれるのに、何で郵便局受け取りはこんな複雑怪奇なのよ!」とその日はプンプンしながら一日を終えた。

翌朝、仕方ないので9時に銀行に行った。
窓口で事情を説明した。 「そういうことなら、住居はメルボルンとして登録して、郵便物は田舎の方の住所に送るようにしておくわよ、確かに郵便局の扱いはやっかいね。しょせん、役人だから融通が利かないのよ」とお姉さんはなぐさめてくれた。
無事に住所の変更をして、その証明書を印刷してもらい、郵便局に向かった。

-郵便局にて(偶然にも昨日の局員にあたる)-
私:すみません、昨日来た者ですが、住所を変えて、銀行証明を出してもらいました。
局員:あ、そう。じゃ、その証明書と名前と顔を再確認するから免許証もみせて。 (局員は念入りにチェック)。オーケー、これですべての人がハッピーになったわね(This makes everybody happy)、といって、奥から小さな箱の包みを持ってきて渡してくれた。ハッピーなのはあなただけでしょ、と言いたかったが、我慢して感情を抑えた。この小さな箱一つで、昨日から大騒ぎ。

しかし何か釈然としない。確かに犯罪やテロなどの問題もあるので、念入りに本人確認するのだと思うが、住所の記載がない公的な証明書を持たない人って結構いるのではないか・・・?

例えば・・・最近、すごく増えているソマリア難民の人たちのケース(あくまでも想像レベル)。

ソマリアの夫に最近連れられて来た妻が友人から小包が送られたが、家にいないときに配達され、不在メモがあった。彼女は郵便局に行ったら、IDを出せと言われた。出せるのはMedicare(健康保険証)のみ。局員は言う、「銀行証明、免許証、公共料金の請求書など、あなたの名前を住所が書いてあるものを持ってきなさい」。しかし彼女は言う、「銀行口座は夫だけしかなく私名義は持っていません。私は車の運転をしないので免許証はありません。公共料金はすべて世帯主の夫の名前になっています。」と。

こんな時局員はこう言うのだろうか?

「それなら小包は渡せません。何も証明できないなら送り主に戻します。もう一度その人から送ってもらい、今度はあなたは外出せず家にずっといて、絶対に自分の手で何とかそれを受け取れるようにしなさい。そうすれば郵便局で証明書を見せずに済みます。」・・・・と。

本当にここは先進国と言われるオーストラリアなのだろうか?