親友のキースとリンダの家にしばらく下宿していたフィリピーナのノナリサとチェリー。
彼女たちはメルボルン大学の修士課程で学び、このたび晴れて卒業となった。
そのお祝いにリンダがパーティを開き、私たちと仲間のヒューイと奥さんのジュー(マドゥラ人)が呼ばれた。
ノナリサ(左の真ん中)は人材開発の分野、チェリー(左最前)は教育学を専攻。
二人とも、AusAID(オーストラリア国際開発庁)からの奨学金で学んでいた。AusAIDはアジア太平洋地域から多くの修士や博士の学生を招聘している。
奨学金は基本的には開発に従事する人材を養成し、本国に貢献することを目的としているが、驚いたことにノナリサたちによると、AusAIDから奨学金を受けた学生は卒業後2年間はオーストラリアに入国できないのだそうだ。つまりオーストラリアで学んだ後にオーストラリアに居住したり職を得ることを阻止する政策なのだ。欧米で学ぶと拍づけになり本国に戻らず海外に留まって就職を希望する者が多くなるため、本国への貢献にならず、頭脳流出という皮肉な結果をもたらす。
このような事にならぬよう、学んだあとはきちんと自分の国に戻り地域のために働きなさい(少なくとも2年は)という意味が含まれている交換条件なのだ。
ノナリサとチェリーはフィリピンに帰って元の職場に復帰することを楽しみにしている。 でもチェリーは娘がオーストラリアに住んでいるので、いづれはこちらに戻ってきたいという本音もちらっと漏らしていた。