2012年11月16日金曜日

違法性でなく道徳の問題


この間見たテレビのニュースで知った意外な事実。
グーグル、アマゾン、スターバックスは、英国で租税回避をしており、英国議会の公的会計委員会でつるし上げられた。
これらの3社は米国に本部を置くものの、多国籍企業化しており、その会計システムはかなり複雑に処理されている。議員から3社の英国での利益に関して疑問が投げかけられた。

例えば、スタバはこの過去3年間法人税を払っておらず、同国に進出してからの15年間の大半で損失を計上している。こんなに損失を出していながら「何故、英国に留まり、ビジネスを継続しているのか?」というマーガレット・ホッジ女史の詰問は理にかなっている。
またアマゾンの昨年の欧州での売上高が91億ユーロ(約9200億円)だったのに対し利益が2000万ユーロ、同社の公共政策担当ディレクターが英国での売り上げの詳細を明らかにすると、「信用できない」と切り返した。グーグルが昨年支払った税金は600万ポンド(約7億5600万円)程度だった。

これにはからくりがある。
スターバックスについては、オランダ政府が同社欧州本社に対し、英国でのビジネスから得られるロイヤルティの支払いを受ける代わりに特別税取引を同社に与えているのだ。グーグルの広告スペースはアイルランド共和国のチームによって売られている一方、アマゾンの販売はルクセンブルグで扱われている(英国は倉庫のみの事業)ということが幹部によって確認された。やっていることは「違法」とはいえないが、「道徳的に多いに問題あり」とホッジ女史は切りつけた。
これらの事実からグーグル社の英国代表は、納税回避のためのタックス・ヘイブン(租税回避地)利用を認めた(ところでこのブログのサイトであるBloggerはグーグルにより作られている。ひょっとしてこんな非難するとこのコラム、削除されちゃうかしら?)

この事実は日本や諸外国にも影響があるかもしれない。この3社が各国でどのように納税をしているのかきちんと調べたほうがいいだろう。

今回公聴会が開かれた背景には、国民の大企業に対する怒りがある。英国が財政赤字の縮小に向け第2次世界大戦後で最大の歳出削減を実施しているにもかかわ らず、大企業は税負担を最小限に抑えようとしているからである。オズボーン英財務相は先週、税金逃れを減らすため、国際ルールのさらなる明確化を求めた。ビジネスは、それぞれの国で完結させないと、国際金融や国家財政は崩壊するという論調があるが、まったくその通り。

一方、多国籍企業の徴税逃れ防止に向けた取り組みも始まっている。英国とドイツの両財務相は先週、多国籍企業に「応分の負担」を求めるため、G20の協力を促す共同声明を発表したとか。 有名企業の徴税逃れに、国民からも非難の声があがっている。英政府の緊縮財政に反対する市民団体「UKアンカット」は11日発表の声明で、12月8日実施予定のスタバに対する抗議活動への参加を呼び掛けている。UKアンカットとは、「必要な公的サービスのカットをするな運動」である。これは80年代にアフリカで起こった「構造調整政策」に似ていて、国家の家計簿は表面上、健全に向かっても、教育、保健、福祉の分野まで予算を大幅削減することで国民がどんどん貧しくなるという現象。

このようなご時勢の中、英国だけでなく日本や他の先進国もアフリカと同じ経験をしていくような気がする・・・