2012年8月26日日曜日
きつね~ その2
前にきつねの話をした。
もともとオーストラリアにはきつねはいなかったが、移民とともに英国人が持ち込んだ。しかし、きつねは子羊や子牛などをかみ殺して、農民に損害を及ぼすので厄介者として野犬と同様に嫌われている。
お隣のジョンさんも羊を飼っているので、きつねを見ると銃殺するそうだ。家畜は資産、資産を奪うものには容赦ない。
この間、運転していたら、突然、牧草地の有刺鉄線に変な物体がぶら下がっているのをみつけた。
よく見るときつね。
殺されたうえに、見せしめにされている。何ともあわれ。
それから数回この鉄線の前を通過したが、もう1か月近くはこの状態。今は毎日寒いのでご遺体はそれほど腐蝕せずきれいな毛皮も残っている。顔からは少し骨が見え始めているけど・・・
自然界は本当に厳しい。
2012年8月21日火曜日
田舎のコミュニティ
先週末、隣のBeech Forestという村でコンサートがあった。オーストラリアの農村部はとにかく住居が点在しており孤立しやすいので、日ごろから人々の触れ合いや、文化的、芸術的なイベントを積極的に導入している。
まず、コンサートに行く前に近所の仲間たちとパブで食事をする。田舎の人たちって写真のような感じ。飾らず、気さくで、とにかくおしゃべり好き。近所のゴシップとなったらもう止まらない。どこの世界も同じだなと思う。パブのオーナーは結構料理が上手で、オーストラリアの田舎のスタンダードからすると、1つ星くらいはあげたい。
隣に座ったトニーさん。我が家の電気工事をしてくれた。今は2件目の自宅を自分で建設中。
ガタイが大きく、サンタクロースのような髭から結構怖そうに見えるが、実はとても暖かく、紳士的。でも頼んだステーキは恐ろしい量。たぶん、日本のレストランのステーキの3倍はあるね。
No wonder he's got a stocky body...
さてお腹がいっぱいになってからBeech Forestのコミュニティ・センターに行く。
コンサートは、Dave Steelというカントリー・ブルースのシンガー。
最初に前座があった。何とそのバンドのボーカルは、私たちの郵便物を毎日配達してくれるキムだった(右から2番目の女性)。意外な、というか隠れた能力にちょっと驚き。でもなかなか迫力あるボイスだった。
バンドの紹介をしている舞台下の司会の男性はオーストラリアでも有名な俳優らしく(名前は忘れた・・・)、この田舎村に住んでいるらしい。
Dave Steelのカントリー・ブルースは、Welcome Wagonというバンドとともに最高の演奏を見せてくれた。カントリー・ブルース・・・あまり耳にしたことはなかったが、これから聴きはじめてみよう。
2012年8月16日木曜日
卒業式
昨日、メルボルン大学の卒業式に参加した。
コースは昨年全て修了したのだが、卒業式の招待状はずいぶん時間が経って忘れた頃に送られて来た。
実は大学の卒業式は学部生以来参列したことがなく、英国での修士、博士とも参列していない。
なので、今回はあのあこがれの「レガリア(Regalia)」をぜひ着たくて、出席することに決めた。
メルボルン大学は毎年8月と12月に卒業式がある。12月の方が出席者も多く、盛大らしいが、今回も十分盛大だった。 学部生、修士生はフロアに着席するが、博士号は檀上に座らされ格別の扱いを受けるのだ。羨ましい~
檀上に上り、学長から卒業証書をもらう私。
卒業した学部・コースにより肩にかけるフードの色が異なる。私はHealth Scienceなので、紫ピンク。私の好みの色でうれしい。
フードした後ろはこんな感じ。
学部生はローブは着るが、帽子はなし。修士学生は角帽、そして博士号はベレーを大きくしたような印象的なデザイン。
あーでもやっぱり博士号のレガリア(下の写真)はかっこいい。私も頑張って英国まで行って、これを着るべきであった・・・ 今からでも卒業した大学の博士レガリアを買って、家でコスプレでもしようか・・・?
ちなみにメルボルン大学の博士号のレガリアのデザインはオックスフォード大学と同じとか・・・
博士号の帽子は愛くるしく可愛いね。
2012年8月4日土曜日
型破りの学会
今日、メルボルンで「心理社会的産婦人科学会(ASPOG)」たるものに出席した。
主に昨今の女性の健康に関するイシューが議論された。産科では妊婦の肥満が深刻な問題になっており、日本の痩せ妊婦とは対照的な現象がオーストラリアにはあるそうだ。
今回の学会の目玉は最終日の午後に行われた「性器の美容形成の是非について」のセッションだった。
若い女性だけでなく、中年以降の女性も自分の性器の形や色を気にして、美容形成やホワイトニングをする人が増えているという。この現象をどう捉えるかの白熱した議論が展開された。
大多数の人がやっているというわけではないが、この悩みをGP(一般医)にも打ち明ける女性が出始めているそうだ。
議論は、男女の役者の寸劇から始まり、檀上のパネラーのディスカッションに移る。ここで驚いたのは、パネラーはGPや産婦人科医、リプロダクティブ・ヘルスの大学の研究者の他に、メルボルンのBrothel (娼館)で働くセックスワーカーの女性(テーブル左端)も参加したことである。セックスワーカーと言っても派手な雰囲気はまったくなく、ごく普通の町に歩いている女子大生のような人で、最初は目を疑った。日本などでは、学会に例えば風俗の女性が来て性感染症の予防の話や意見を語るなんていうのは絶対に死んでもあり得ないこと。このオープンさは一体、どこから来ているのだろう?
まず議論はなぜ人は隠れた部分に極度にこだわるのか?という疑問から出発した。会場からは、いわゆる「ブラジリアン・ワックス(局部を剃毛すること)」についてジョークを混じりながら口火が切られた。ある人は「要はアソコをフロスしたいのよね(デンタルフロスのように隙間掃除すること)」と言い、参加者を一同爆笑させた。 こだわりに関する男女の違いでは、セックスワーカーの女性から、「店に来る男性の客は、女性にヘアがあるかないかを聞くことはあっても色形まであれこれ聞く人はいない」そうだ。ちなみにそこで働く全ての女性は剃毛しているそうだ。「私自身は身体のあちこちを改造しているけど、アソコの美容形成はまだよ!」とのこと。あー、なんと生々しい話。これって本当にアカデミックな学会?
美容形成については、英国の40代の女性の手術事例のビデオを参考に、「新しくできた恋人にステキにみせたい」という理由で彼女が受けた美容形成に対する心理について議論が交わされた。パネラーだけでなく参加した女性たちは「何でそんな隠れたところの一部分に執拗にこだわるのか、自分の部分をそんなしげしげ毎日みるわけじゃないし・・・、朝仕事に行く前に鏡で顔や姿形はしっかり見るけど、自分のアソコを毎回チェックして出勤することはないわよね」など。皆の笑いを誘いながらもこだわりへの否定的な意見が多かった。
一方、男性参加者からも「男性としてそんなところの良し悪しを気にすることはない」「考えたこともない」など、女性ほど男性は気にしないという意見が多かった。
モナッシュ大学のリプロの研究者からは「ここにいる人たちは気にしない、という意見が大勢だけど、確実に一般の女性にはこだわりが増大している。倫理やあるべき論の問題ではないのよ、この現状をどう把握して、臨床の場でどう対応するのか、が今後の研究課題でもあるわ」と指摘していた。
とういうことで、議論の結論は出なかったが、今まで学会などでオープンに話されなかったことだけあって、主催者は、ついにパンドラの箱を開けてしまったという感じである。
ところでこの学会でもらった資料一式バックの中に下のような物が入っていた。なんだろう・・・と友人とよく見たら・・・
性交時の潤滑ジェルなのでした。
一緒に行った友人は独身でパートナーもいないので不要だから、自分の分を私にもあげる、と言ったけど、「いえいえ、私もそんなに必要ないと思います」と言って、丁重にお断りした(笑)。
しかし、学会でこんなおみやげをもらうのは初めて、すべてが大胆というかあっけらかんとしているのでただただ圧倒されるばかりだった。
最後にもう一つ。
学会の会場のトイレのドアの張り紙。
トイレの便座の上は座るもので、足ごと乗り上げて座るものではありません、という注意書きである。えー、メルボルンでもこれをやっている人がいるんだ・・・アジアの国々ではよくあるので、便器の上のカバーをわざとつけないで、はずしたまま(男性使用の状態)になっているのを見る。
それなら、日本のように和式用、洋式用のトイレを作ればいいのよね。確か、フランスではいわゆる和式風のトイレが公衆トイレに時々あったな・・・
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